はじめまして。
コミュ障ハカセの永田です。
このサイトの編集長をしています。
早速ですが、ぼくが「口下手に関する記事」を書こうと思った理由からお話しします。
・・・
ぼくは子供の頃から無口でした。
どのくらい無口だったかというと、
「かんたんな質問に答えられない」
「思ったことが言葉にできない」
「集団会話では聞いてばかり」
「家族や友達ともまともに話せない」
というほどでした。これが大学を卒業をして大学院に進学した当時の状況になります。今となっては自分でも信じれませんが、本当のことです。
そして、コミュニケーションの勉強をはじめました。
当時はネット情報がすくなかったので、本屋で情報を集めました。語彙力がないからと本を読んでみたり、文章を書く練習をしました。しかし、思ったように会話が改善されずに、5年ほどたってしまいました。
ようやく「実践」の重要さに気づきました。
でも、難しさがありました。まず、適切な「話し相手」がいないのです。また、恥ずかしさや苦手意識が邪魔をしたし、がんばって話しても相手から「微妙な反応」しか返ってきません。
心が折れてしまいそうでした。
そうならないために、会話ができる「環境」を作ることが先決です。「会話の準備」や「人間関係をつくる」がなによりも大事だと思います。
はじめに
会話の技術だけ改善しようとすると失敗します。
それよりも欠かせない視点が、
「会話のハードルを下げる」
ことだと、ぼくは考えます。
そのためには、会話の土台となる「マインドセット(考え方)」「人間関係」「話題(リサーチ)」をおさえることが必要です。
なぜなら、例えば、「人間関係」がよければ会話はグッと楽になりますよね?
例外もありますが、家族や友達となら会話のスキルが高くなくても会話できるはずです。でも、それ以外の人となると急に難しくなります。これはひとえに人間関係ができていないためです。
「マインドセット」ですが、これも同じでネガティブな状態のときにいくら人と関わろうと思ってもうまくいきません。こういうときは会話をどうこうするよりも、まずはネガティブな状態(精神的な状態)の回復が先決になります。
だから、会話のマインドセットが重要です。
そして、もちろん「話題(リサーチ)」は欠かせません。
よく雑談では「話題はなんでもいい」と言われますが、これは「最低限の話題」が前提になります。周囲の共通の話題やニュースはもちろん、相手の関心もそれなりに知らないと会話を続けるのは難しいです(だから、初対面の会話は難しい)。
ですので、会話のスキルアップよりも、これら「マインドセット」「人間関係」「リサーチ」の準備が先決になるでしょう。
これまでの経験、教育、先入観からできる思考様式の全体。かんたんには、「心構え」「考え方」ととらえてよい。
準備1:マインドセット
口下手だと、まず「苦手意識」が邪魔をしてきます。なんとか話そうと思っても、不安が大きくて、一言目のハードルが高くなっている状態です。
ですので、まずはマインドセットを整えると効率よく努力ができるでしょう。
マインドセット①:思ったことは全て言う
自分の経験からも言えますが、口下手の人は
「これ言ったら変かな?」
「これ言ったら怒るかな?」
と考えすぎます。
これの何がまずいかというと、自分の思ったことを1度でも我慢すると「次も飲みこんでしまう」からです。
「バツをつけるクセ」がエスカレートします。
意外なことに、会話は無神経な人のほうが得意だったりします。相手の気持ちを考えずに、思ったことをどんどん言うからです。
「相手の気持ちを全く考えない」
はまずいですが、
「相手の気持ちを考えすぎる」
のも問題。
考えすぎるあまり何も言えなくなると、会話が滞ってしまいますので、結局、相手のためにもなりません。もし、相手を傷つけたり気分を害したら、ちょっと謝れば大丈夫です。
だから、思ったことを「言い方を工夫」して、「全部言う」ようにしましょう。
言いにくいことがあったら、「間接的な表現」を使いましょう。最初は疲れますが、すぐに慣れます。
マインドセット②:自分の話をする
口下手だと話に自信がないので、つい「相手の話」ばかりを聞いてしまいます。そして、会話内容を相手の話に合わせてしまいます。
会話をちゃんとしようとするあまり、
気づいたら「自分の話」を全くしていない
みたいな状況になることが多いでしょう。相手の話に合わせるので、自分のことを話す機会がなくなっているのです。
そして、話を振られても
「いやー、自分の話をしても…」
と口を開きません。
話すこと自体に自信がないので、思わず自分の話は遠慮してしまいます。そして、話したとしても、つい、一般的な話や第三者の話になるのです。これだと「自己開示してくれない」と評価されてしまいます。
ですので、
- 自分の周りの出来事
- 自分が昨日したこと
- 自分が食べたもの
- 自分が感じたこと
- 自分が考えたこと
を発言の中にいれていきましょう。こういう話が違和感なくできるようになる必要があります。
また、割合としては、「2回に1回は自分の話」でもいいくらいです。話をする人はこれくらい自分の話をしています。
マインドセット③:自分からオープンになる
オープンになるとは
「ぶっちゃけること」
です。
「自分の話」に似ていますが、もっと自己開示をしていくイメージです。自分の話をすることでも十分ですが、相手との距離をさらに近づける効果があります。
例えば、緊張しているなら、
「じつは今、緊張してるんですよね」
とあえてそれを口にだします。そうすることで、相手は「緊張していてもいいんだ」という安心感がもらえます。弱みをさらすことで自分だけでなく、相手のハードルも下げられるからです。
あるいは、「言いにくいけど思っていたこと」を言ってしまうのもいいでしょう。
「これ、ホントはつまんないって思ってたんだよね」
と(笑)。そういうときは相手も感じているもので、笑いがとれるし、打ち解けられる可能性が高くなります。
ぶっちゃけるのはハードルが高かそうですが、慣れると意外とできます。かんたんなところから始めてみましょう。(本当に隠したいことは言わなくて大丈夫です)
準備2:人間関係
会話には「話し相手」が必要です。その相手は特定の相手でもいいですし、周りの人全員でも大丈夫。
ただ、日頃から関係を良くするように働きかけたり、関わることをしていないと「会話の機会」が得られません。
人間関係①:自分から挨拶する
「人間関係の始まりは挨拶」
こういう格言があったような無かったような…。とにかく挨拶は大事です(笑)
例えば、異動先の職場では最初の「挨拶回り」は欠かせないでしょう。だから、プライベートや学校だとしても、挨拶をちゃんとして普段の人間関係をつくります。
でも、コミュ障は挨拶を疎かにしがち。
「恥ずかしい」「面倒くさい」を理由にしてしまいます。そして、なんなら、「相手が挨拶したら挨拶しよう」みたいなマイルールをもっている人も多いでしょう(苦笑)これはかつて僕もそうでした。
でも、このルールだと挨拶する人が限られてくるし、だんだん減ってきます。「挨拶したら挨拶を返すよ」というスタンスが伝わるのかもしれません。苦笑
受け身の挨拶はまったく得にならないので、まずはここから改めたいものです。
人間関係②:相手のために何かする
「自分から挨拶する」というのも1つですが、基本的に人間関係を良くするためには「相手のために何かする」必要があります。
何らかの形で、相手にメリットを提供できないと人間関係が続かないのです。
「メリット」と言うと難しく聞こえますが、カンタンなことでいいのです。
- 挨拶をする
- お礼をいう
- 手伝う
- 声をかける
- 気遣う
- 道案内をする
- ドアをあける
これらは何でもないことですが、大事です。
コミュ障はコミュニケーションに慣れていないため、こうした「貢献」ができていないものです。でも、コミュ力がある人は自然とできています。
困っていたら声をかけるし、何かしていたらさりげなく手伝う。爽やかな挨拶もするし、体調が悪い人がいたら声をかける。
これがコミュニケーションがうまくいく人とうまくいかない人の「差」だと言えます。
人間関係③:普段から話す
「初対面から友達のように仲良く話せる」
「誰とでも楽しくおしゃべりできる」
コミュ障ならこういう会話力に憧れをもつかもしれませんが、みんなができるわけではありません。ごく一部のコミュ力が化物クラスの人だけです。
ふつうの人はそうではありません。
初対面では緊張するし、楽しく話せるのはいつも話している友達や家族だけでしょう。たんなる知り合いや話したことがない人とは表面的な会話になっていたりします。
だから、会話を少しでも楽しく自然にしたいなら、まずは
「ふだんから話せている人か?」
という観点が大事。
この基本的な条件をぬきに、「誰とでもうまく話そう」とするとうまくいかないでしょう。そもそもの基本の会話が難しい状態(初対面や緊張する相手)だと、それだけでハードルがあがっています。会話の練習になりません。
また、新しいポイントを意識しながら話すのは、会話が難しくなります。
だから、まずは会話相手は
「いつも話ができている人」
を対象にしましょう。
そうやって会話できている相手と話せば、最低限の会話が成立します。つまり、いつもどおりの会話ならできるので、これが精神的に安心できます。
そして、最低ラインを確保しておいた上で、自分が伸ばしたい会話の技術やポイントを意識していきましょう。
(友達や家族となら多少の失敗や違和感があっても大丈夫です)
準備3:リサーチ
会話の話題は、なんでもいいわけでありません。基本的には、
「相手の興味関心」
をふまえた内容でないと、熱心に聞いてもらえないでしょう。
リサーチ①:身近な話題
一般的な話題もいいのですが、費用対効果が高いのは
「自分の周りで流行っている話題」
です。
一例を挙げると、職場なら、その職場にいる人たちの共通の話題があるはずです。例えば、サッカーに興味が多い人が何人かいたら、とりあえずサッカー関連の話題なら、職場で話しやすいはず。
もちろん、自分はサッカーをした経験も試合観戦の経験もないかもしれません。
でも、雑談の輪に入りたいなら、「ちょっとの労力」を使ってネタを仕入れた方が得策だとぼくは思います。今ならYouTubeでサッカー動画を見るくらいは簡単です。
「この試合の動画を見たんだけど…」
と、話しかけることができます。
「全く調べたくありません」の場合は無理にお勧めしません。少しでも気がむくものからリサーチしましょう。
リサーチ②:聞いた話
誰かが話題にしたことは、他の人も「関心」がある可能性が高いです。だから、
「聞いた話は使えるネタ」
になります。
「自分のオリジナルの話題じゃない」という抵抗感があるかもしれません。でも、それほどオリジナルな話題を話している人はほとんどいません。似たり寄ったりの話題です。
だから、オリジナルは気にせずに「人から聞いた話」を堂々と話しましょう。
話上手な人は「聞いた話」をとくに躊躇なく自分の話に取り入れています。「当たり前のこと」という認識で良いとぼくは思います。
リサーチ③:反応
人から聞いた話は一歩目として大事ですが、最終的には「自分が考えた話」をすることになるはずです。
その時に大事な基準が
「反応を確かめる」
です。
自分でいいと思った話でも、他人には全く受けない場合が多いです。とくに、はじめのうちはウケる感覚が養われていないので、自分の感覚だけでやると痛い目にあいます。笑
だから、自分の話がつくれたら、身近な人でテストしてみて下さい。
「あ、この話はウケない…」
「ん?意外にこの話はウケがいい」
他人の反応は自分の予想と大きく違ったりします。
そして、少しでも反応が良かったネタは、他の人にも同じように話してみましょう。きっと他の人でも同じようにウケるはずです。
話上手は同じ話を何度もします。話慣れていないと違和感があることですが、常識とも言えるくらいに当たり前にみんなやっています。
コミュ障に必要な会話技術の「基本」
以上のような「準備」をしつつ、会話を改善していく必要があります。そのときにポイントは、
「基本的なことがちゃんとできているか?」
だと思います。
ついつい、一般書籍に書かれているようなテクニックをやろうとしがちですが、基礎ができていない状態ではそのようなテクニックは実践が難しいです。
そうではなく、地味かもしれませんが、基本的なことを1つ1つ見直していくと、自分でも「改善の実感」が得られるので努力が続きやすくなります。
会話の基本①:リアクション
コミュ障はリアクションが薄い。
リアクションがうすいと、相手が不安になってしまいます。「この人、聞いてるのかな?」と疑われるのです。そして、その状態で会話しても盛り上がらないことは言うまでもありません。
リアクションがうすいのは自分が話し手になれば一目瞭然ですが、いつも話を聞く側だと「聞いてくれているかどうか」は考えないものなのでわかりません。
ですので、リアクションに自信がない人は、基本的に、
「聞いていないと思われてる」
と思ったほうがいいです。このくらいのマインドセットで、リアクションをちゃんとしたほうがいい。
とくに、2倍のリアクションがおすすめです。
この意識でやるくらいがちょうどいいです。最初は「大げさかな?」と思いますが、それほど気にする人はいません。むしろ、相手の反応は良くなります。
リアクションを大きくすると、声や話し方もよくなってきます。相手のリアクションもよくなるので、いいことづくめです。
会話の基本②: 1問2答
会話が広がらないのは、「1問1答」になっているからです。「相手の質問に答えているだけ」になっています。
【ダメな会話例】
「今日なんか曇ってるね〜」
「あ、そうだね。」「休日はどこか出かけたの?」
「家にいた。」「このパスタすごく美味しい!」
「あ、うん。」
・・・これでは相手も疲れてしまいます。質問しても話が広がらず、相手は質問し続けることになるからです。
逆に、質問に対して2答で答えたらどうでしょうか。
【良い会話例】
「今日なんか曇ってるね〜」
「あ、そうだね。なんか午後から雨降るって言ってたから傘をいちおうもってきた。」「休日はどこか出かけたの?」
「家にいた。自粛明けだけど、どこか食べにいくのもまだどうかと思って。テイクアウトにしようか迷ったけど、迷ってるうちにもういいやになって。笑」「このパスタすごく美味しい!」
「あ、うん、そう。パスタもそうだけど、かかっているオリーブオイルが美味しいよね。こんなに大量にかかっても全然しつこくないし。」
このように1問2答にするとよいでしょう。ダメな例に比べると、会話が広がる可能性が大きく上がります。
会話の基本③:体験談
1問2答は相手の発信(質問)がベースになっています。そうではなく「自分発信」の形もできると、グッと会話が楽になるでしょう。
そのためには
「伝えたいこと」(体験談)を増やしていく
必要があります。
例えば、もしあなたがラーメン好きだとして、うまいラーメン屋を発見したら、誰かに伝えたくなりますよね?
面白いマンガを見つけたら、勧めてみたくなりますよね?
あるいは、とんでもない失敗をしてしまったら?
こういう風に「自分の体験」が増えると、誰かにシェアしたくなります。
ちなみに、本やネットの知識などの「情報」が雑談ではほとんど使えませんが、「体験」は雑談と相性がよいのです。だから、話し上手な人はふつうの感覚として体験談を話しています。
そして、下記のような体験は話しやすいので、参考にしてみてください。
- うまいお店
- 美味しいお菓子
- 雰囲気がいいカフェ
- つくったらうまかった料理
- 旅行の思い出
- 面白いマンガ・映画・動画
- はじめてやってみたこと
- 失敗談
- 恋愛話
関連記事
以上は会話の超基本でしたが、少し発展した内容も記事にしています。興味がある方は、下記の記事も読んでみて下さい。
聞き方
コミュ障でもできる相槌の打ち方
https://cmc-study.com/how-aizuchi/
会話が続かない原因と対策
https://cmc-study.com/talk-continue/
話す
無口の人が話す方法
https://cmc-study.com/reticent-kaizen/
口下手な人のためのシンプルな練習法
https://cmc-study.com/speak-nicely/
人間関係
ぼっちのための人間関係構築論
https://cmc-study.com/college-alone/
人見知りを治すための方法論
https://cmc-study.com/shy-strain/
まとめ
口下手だとどうしても「会話」に注意がいきがちですが、上でみてきたように「会話以前」がとても大事になってきます。いえ、むしろ、その「準備」で会話がうまくいくかどうかきまってしまうほどです。
だから、
「会話のハードルをどれだけ下げるか?」
という視点が口下手改善の第一歩目だと、ぼくは考えます。そのための準備が上で述べたような「マインドセット」「人間関係」「リサーチ」になります。
いずれも難しい内容はないので、さっそく今日から取り入れてみてください!
長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。